私、夜に塗れて

昨日ホテルでの実演仕事を終えて
ようやく一息つけた感じなんですが、
もう正月3日が過ぎてしまったんですね。
早いものです。
昨日は終了後に私が荷物の搬出作業してるそばから
会場の撤去業者が「早く片付けろよ、おらー。」
みたいに会場を撤去して行くので、
内心あせりながらもあえてゆっくりじっくりやる、
という反骨精神で業者に抵抗しつつ搬出作業を行ってみたのですが、
結果最後に私だけぽつねんと残ってしまったので
(他の職人さんは2、3人で来ているので作業が早いのです)
ああ、正月早々ぽつねんとしてしまった。
とか思いつつ作業を終えてとぼとぼ帰ったのですが、
正月の夜の日比谷周辺てここ最果てかよというくらいに
誰もいないし静かで、私は夜に塗れながら
音叉の一撃でもこの闇と静寂に喰らわしてやりたいような
そんな気分になったのですが、
生憎音叉もないし口笛も吹けないので
仕方なくただ静寂に耳をすませながら帰ったのですが、
誰もいない夜の東京の街の佇まいはそれはそれで悪くない、
などと思って少しほっとしたりもしたのです。
ただただ茫漠と、ぽつねんとしながら。


ところでホテル内の会場アナウンスが
日テレの「ザ・ワイド」に匹敵するくらい台詞を噛むので
私は吃驚したのですが、
もっと落ち着くべきだ、喋る前に。
とか自戒も含め思ったりしました。
何しろ私もたまに
「いらっしゃいませ」を「いらっさいまへ」とか
どこの国の言葉だそれはという感じで噛んでしまうこともあるわけで
そういうのって気を付けたいよね、とか思ったわけです。


かと思えば領収書の件でホテルの従業員とやりとりした時など
こちらが感心するほど完璧な仕事ぶりを見せる女性従業員がいて、
プロって凄いな、とか感心したのですが
そういう人はまた美人でもあるわけで
これだけ仕事が出来て綺麗で完璧に見える人って
一体普段どんなことで悩んだりするのだろうか、
日常でひとりで泣いたりすることがあるのかしら、
とか思ったのですが、仕事の出来る美しい女性が
人知れず流す涙の美しさったらないだろうなとか
初対面の人の涙に想いを馳せたのですが、
まあ想いを馳せたところで私がその涙を見る機会はないわけで、
それは非常に残念なことだ、と私は思ったのです。
あなたの涙を見せてくれませんか、とか頼むのも変ですしね。