勝手にしやがれ

謡曲マニアで知られるイケメン俳優の半田健人氏ですが、
彼が歌謡曲について蘊蓄を語るNHKの番組があり、
先日偶然それを視聴した所なかなかに興味深い内容で、
この半田なる若者、本気だな。と感心した次第なのですが、
特にピンクレディーの「サウスポー」を題材として取り上げ、
あの曲のフルオーケストラアレンジをパート毎に解体し、
曲間においての魅力を語るくだりなどは
音楽番組としても非常に良く出来ていると思われる内容で、
こういう聞き方をする若者がいるのはある意味心強いのではないかと
何だか安心(?)もしたのですが、
なかなか面白いキャラですよねこの人。
半田氏が歌謡曲好きであるとメディアで公言した初めての場は
恐らく「ごきげんよう」で、私はそれを偶然視聴していたのですが、
その時はこういうキャラで売るように事務所に指示されたのかと、
藤原紀香の格闘技好きみたいなものかと穿った見方をしたのですが、
その割にやけに詳しいなと感心したのを覚えているのですが
本当に好きだったわけですね。
好きが高じて自分でも曲を出しているのですが
この渚ようことのデュオ曲「かっこいいブーガルー」が
意外にも歌も巧くてなかなか良いのですよね。
(PVの振り付けのユルさが何だか凄まじいですけど)
ぜひこっち方面での活躍も期待したいところです。


それにしてもこういう番組を見たりすると
己の歌謡曲好きをも改めて実感させられるわけですが、
私は70年代80年代の歌謡曲の黄金期をリアルタイムで見ており、
それが自分の音楽の原体験にもなっていて、
私のジャニーズ好きもそれに由るものだと思われるのですが、
(たのきんの頃確か小学校低学年だったと思います)
プロの作家によるエンターテイメント性溢れる
間口の広い歌詞と大衆の心を掴む強度なメロと、
衣装、振り付けなど様々な要素が高度なプロダクションによって
見事に成立しているものは今やジャニーズくらいしかないわけで、
日本の歌謡曲という伝統を守り抜いているかのような様に
私は感動のようなものも覚えるわけです。


実際当時の歌謡曲の実験性とか鋭さとか今聞くと発見があるわけで
山口百恵の「プレイバックpart2」のブレイクの入れ方とか、
「馬鹿にしないでよ」という決め台詞の立ち方とか、
こういうのが時代を創るパワーなんだなと
改めて思ったりするわけです。
ピンクレディーの「UFO」の振り付けと歌詞も
いまだに真似をして通用するネタですもんね。


そんな中、作詞家の阿久悠氏死去のニュースがあり驚いたのですが、
謡曲の名曲をたくさん世に送り出した重鎮を亡くし、
何だかひと時代終わったかのような印象も抱くのですが、
非常に残念であるし冥福をお祈りしたい次第です。
阿久悠氏は先ほど言及した番組にも出演しており、
謡曲を熱く語る半田健人氏を褒めていて、
本人から直々に認めてもらって半田氏は嬉しかろうと思うのですが、
その直後の訃報にはさぞかし悲しんでいることでしょう。


ちなみに私のフェイバリット阿久悠ナンバーは
また逢う日まで」「勝手にしやがれ」などですが、
映画の如く場面が想起される秀逸な構成の歌詞なんですよね。
あとはかまやつひろしの「青春挽歌」ていうのも良いんですよ。
作曲が筒美京平氏で。
こういうのってディグし出すと止まらないわけで、
研究を深め行く半田氏の気持ちもよくわかるというものです。
取りあえず行ったきりなら幸せになるがいい、
ということで。
朝までふざけよう、
ワンマンショーで。