私、ジョンレノンに想いを馳せ

今日がジョン・レノンの命日であることは
各メディアがこぞって彼の曲を流し特集する故、
ファンでなくとも知り得るところなわけですが、
彼を単純に愛と平和の善意に満ちた使者みたいな扱い方をしている
安易なメディアって本当に多いような印象なんですよね。
例の鉄板のクリスマスソングがあるので仕方ないのかもしれないですが、
あれと「イマジン」しかないのかジョンのレパートリーは、
と問いたくもなってしまうわけです。
クスリ絡みの犯罪が多発しているこの現代社会に向けて
たまには「コールド・ターキー」とか流したりしては如何と
思ったりするのですけどね。
まあこのご時世、イマジンを流すだけでも意義ある行為ですけどね。


先日、NHKの朝の番組にレノン夫人のオノヨーコさんが出演しており、
彼女のライブ映像も少しだけ流れたのですが、
それがよりによってノイズに乗せて彼女が「殺してやる〜」とか唸る
実にアヴァンギャルドな曲だったりして、
NHKの素晴らしくてナイスチョイスな瞬間を目撃してしまったわけですが、
現在も前衛芸術家であり続けているその凛とした様に
私は改めて感心してしまった次第です。
朝からあのいびつな存在感は凄いなとか思ったりして。
「京子ちゃん心配しないで」というヨーコさんの曲があるんですが、
「ドンウォリーキョーコ!」と10分間ほど絶叫するだけの曲で、
京子ちゃんの心配をするよりもそれを10分聞かされている私の身を
むしろ心配して欲しいと思ったものですが、
あれも今聞くとそれなりに楽しめてしまうので不思議なものですね。
前衛は30年くらいを経てようやく時代が追いつく感じなんでしょうか。
ちなみに京子ちゃんてヨーコさんと前夫との間の子なんですが、
やはり現在は芸術家にでもなっているのでしょうかね。
ちょっと気になったりします。
そういやジョンとヨーコの間の子である
ショーン・レノンくんの方も今何してるんでしょうか。
そちらも気になったりします。
彼のグランドロイヤルから出たアルバムとか
昔よく聞いてたんですけどね。


かつて真心ブラザーズが「拝啓、ジョン・レノン」という歌の中で
「馬鹿な平和主義者」と実にざっくりと彼のことを歌ったものですが、
自分の社会的影響力とか立場とか世間の反応とか考えずに
「だって大事なのって愛と平和じゃん!」みたいに素直に表明し、
ヨーコさんとベッドインとかの突飛な行動に出ちゃう辺り、
今で言う「空気読めない」的な行為なわけで、
当時もさんざメディアに叩かれたわけですが、
(しかも長年アメリカを敵に回すことになったわけですが)
こういう時代だからこそ「愛と平和でしょ!」
と素直に言い切る彼のような存在が必要というか、
彼の残したメッセージが活きる時代だとも思うんですけどね。


彼とヨーコさんの突飛とも言える前衛な平和運動とか
矛盾と稚拙さも含んだ主義主張とか、
そういうのもすべて含めて人間味溢れて魅力的というか、
愛すべき皮肉屋で不良のロックスターである
彼の曲や声やギタープレイをファンは今でも愛しているし、
愛と平和のメッセージも毒気のあるロックンロールも
同様に高度な作品として受け入れているわけなんですが、
それを何だか愛と平和の人だけみたいな扱いをされると
それだけじゃないよ彼の魅力は、と言いたくもなってしまうわけです。
そういうレノンへの愛と独特な距離感みたいなのを真心ブラザーズ
「拝啓、ジョン・レノン」は実に秀逸に描き切っていて、
私は史上に残る名曲だと思っているのですけどね。


アメリカVSジョン・レノン」という映画も公開されて
それも見なければなるまいと思っている私なのですが、
改めて凄いアーティストだなと思ってしまう次第です。


あとシュトックハウゼン氏追悼ということで。