私、Perfumeを見学

ところで私の大晦日はどのような案配だったのかと問われれば
Perfumeのカウントダウンライブを鑑賞したのであり、
それはもう素晴らしいパフォーマンスだったわけです。
ブレイクの渦中であるこの時期に見られて良かったですね。
武道館、紅白で見ても何だかなという感じもありますし。
今更という感じですが感想を書いておこうと思います。


会場のZeppって私は行くの初めてだったんですがキャパ2700人だそうで、
それだけたくさんの人がたった3人の女の子を見に来たのかと思うと
凄いことだなと会場の外に溢れかえる人の群れを見て思ったんですが、
アキバ系の所謂アイドル好きっぽい人もいればクラバーぽい人もいたり、
ごく普通の人もいるし女の子同士で来てる人もいたりして、
その客層に間口の広さを感じました。
彼女をアイドルとして追ってる人と、音楽やダンスに魅了されて来た人と、
現象としてそれら全部含めて面白いと思っている人と
彼女らに求める要素が多様なのが客層見ててわかりました。


前方の盛り上がりにはさすがについでいけぬだろうと踏んで
我々はかなり後方に陣取って見ていたんですが、
後方にも熱心なファンはたくさんいましたね。
私の隣には所謂アキバ系の雰囲気の安田大サーカスのヒロ似の巨体の方がいて、
極寒のお台場においてすでに半袖1枚でPerfumeタオルで汗を拭いているのですね。
え、もう汗かく?て感じで。
私はコートの下に3枚着ていましたけどね。
しかもその彼の着ているTシャツがなぜかグレイトフル・デッドのもので、
己の風貌がデッドベアーぽいのを意識しておるのかと思ったのですが、
私は彼に「くまくん」と命名しました。即座に。


で、ライブはというと冒頭、幕の内側でシルエットで
ポリリズム」の例の3人のポーズが映し出されて。
イントロから曲がサビに入ると幕が落ちて3人の登場という、
お約束ながら盛り上がり必至の始まりに興奮しましたね私は。
隣で見ていた石本さんも「うおー」と声を上げておりました。
あれだけ聞き込んでいた「ポリリズム」を生で聞けるとは。
まあ口パクなんですけどね。
あの曲もこの曲もやるのかーと楽しみながら聞きましたが、
やはり彼女らのダンスの巧さに感心しましたね。
伊達に長年下積みしてないですよ。
「コンピュータードライビング」のドライブする振り付けとか、
凄い可愛くて印象に残りました。
後方で見てたので実物は本当に小さくしか見られなかったですけどね。
それでも充分魅力的でしたね。
下積みの成果と言えばトークもそうで、
主にあーちゃんが中心に喋りを展開し、そこにほかの2人がツッこんだり、
2人がボケをかましたらあーちゃんがツッこんだり、
場数を踏んでないとあれだけのトークは出来ないだろうなという感じで。
実際アイドルが妙にお笑いわかってます的なトークするのは私は好きではないのですが、
彼女らの場合、嫌みがないので好感を持って聞いてしまうのですよね。
広島弁全開のぶっちゃけトークとクールなテクノポップとの
ギャップがまた良いのでしょうね。


「コンピューターシティ」とか「エレクトロワールド」などの
キラーチューンに私は特に感涙に咽びそうになったのですが、
中田ヤスタカ氏の完全クラブ仕様のサウンドを大音量で浴びつつ、
キックの四つ打ち考案した人って凄いなとか今更なことを思ったりしましたよ。
何て名曲作るんだ中田氏は、と改めて感心したりして。
彼女らの衣装も良かったんですが(3、4回衣装替えしましたね)、
このAKIRAぽい世紀末な感じの世界観の曲の時に
のっちがTシャツに赤いハイソックスという組み合わせで出て来て、
そのファッションが私には鉄腕アトムをイメージさせたのですが
実際手塚治虫の描く懐かしい未来感みたいなのも感じさせるし、
アトムって最初女の子として設定されたキャラですしね。
のっちのボーイッシュな風貌に合っていてあの衣装は秀逸だったと思います。
冒頭で着ていたシルバーに3人それぞれ赤、青、黄のチェック柄というのも
可愛くて良かったですけどね。
メンバーをキャラで色分けするというのはゴレンジャーなどの戦隊ものの基本ですが、
Perfumeは3人なので太陽戦隊サンバルカンを踏襲していましたね。
サンバルカンを知らぬキッズは己でお調べくださいね)
あーちゃんが黄色ってまた似合ってましたしね。


そんな熱いステージですが私の隣で見ていたくまくんは例によって汗だくで、
アイドルのコンサート定番のペンライトを振りに合わせて振っており、
そのペンライト裁きがまた貫禄の巧さなのですね。
手首のスナップを利かせた良い振りで。
ペンライト持参組はほとんど前方で見ていたと思われるのですが
彼はあえて後方でペンライトというこだわり派なのかなと思ったのですが
巨体ゆえに後方でしか見られないだけだったのかもしれません。
前方はモッシュの嵐でしょうし。
彼はきっと部屋でPerfumeの曲を何度も聞き、ペンライトの振る練習を積み、
お母さんに「あんたいい加減にしなさい!」と怒られても
「だってPerfumeのみんなが頑張ってるから。俺も頑張らないと!」
とペンライトの素振り100回を日課にし、振りの角度を研究し、
その間には素振りのし過ぎで腕を痛め、
医者に「あんたペンライトやめないと腕が使いものにならなくなるよ!」
と止められても練習を続け、そして今日の本番に至っておるのではないか、
あのペンライトは彼の汗と涙の結晶ではないかと思い、
くまくんのその情熱に胸打たれ泣きそうになったのですが、
実際彼の汗は涙と同等だったのかもしれません。
「涙は心の汗だ」というスクールウォーズの名言を思い出しました。
くまくん、ありがとう。きみのおかげでPerfumeは輝いているよ、
と彼に心の中でエールを送った私です。


そんなステージはカウントダウンを挟んで
名曲「チョコレイトディスコ」に突入し、
この曲を一番聞きたいと事前に言っていた石本さんは
イントロがかかると「うおー」と歓声を上げておったのですが、
バレンタインの女子の恋心を歌った曲に
ここまで興奮する40過ぎの男というのも
また素敵じゃないかと思った次第です。
それから新曲を披露し「SEVENTH HEAVEN」で締めというステージでしたが、
実に充実の内容だったんじゃないかと思います。
これはぜひDVDとかでまた見直したいものですね。


私の隣ではくまくんが汗と涙を流しておりましたが、
前方には女子2人で見に来ている客がいて、
「のっち可愛い〜」などと感想を述べ合っていて、
女子にもこれだけ支持されているんだなと感心したり、
斜め前には演奏中やMCの最中ずっと携帯打ってる輩もいて、
(おそらくミクシィか何かで実況中継してたんだと思うんですが)
色々な人が色々な楽しみ方をしていましたね。
(その携帯男もなぜか最後の曲だけは腕を振り上げて盛り上がってましたけどね)
実際アイドルオタクとクラバーが同じ空間で感動を共有出来るというのは
なかなかない状況じゃないかと思いました。
近田春夫氏によるアイドルテクノポップの元祖とも言うべき
「ジェニーはご機嫌ななめ」のカバーもそうですが、
YMOから脈々と続くテクノ歌謡の系譜を高度なプロダクションとパフォーマンス、
キャラの立った3人の女子で打ち立てた世界は素晴らしいし、
それを広島から出て来て石丸電気のインストアからZeppまでという
ロックバンドばりの道のりを経てのし上がって来たサクセスストーリーに
我々は心打たれるし、共に夢を見てしまう所以なんじゃないかと思うのです。


今年は実際、武道館、紅白を視野に入れているのでしょうが、
その栄光を目撃する古くからのファンは感激ものでしょう。
「彼氏募集中」などの古い曲もきちんとセットに入れていたし、
その歴史も彼女たちを輝かせている要因のひとつとなっているのでしょう。
さらには「Perfumeの掟」なるコンセプチュアルアートみたいな試みもあり、
我々は彼女たちの成功への途中経過というか、
まさに渦中の混沌を目撃したという感じで、貴重な体験だったと思います。
いやー凄いですねPerfume
良いものを見学しました。
年末、そして年始に。