文房具コミュニケーション

先日、文房具売り場にてペンを物色していたら
ふと下の試し書き用のメモに書かれた言葉が目に留りまして。
大体あそこってうにゃうにゃした文字のようなただの線のような、
ペンの書き具合を各々確かめた痕跡がちょこんと残っているもので、
たまに文字があったとしても名前とか短い単語くらいだと思うのですが、
そこには「宜しくお願い致します」とか
「お世話になります」みたいなちゃんとした文章が書かれていたのですね。
おそらくこれを書いた人は普段からペンでこういう文章を書く習慣があり、
それを書いた時にしっくりくるかこないかでペンをセレクトしたと思うのですが、
私はなるほどこれは実に正しい試し書きであるなと感心した次第なのです。
仕事で使う場合、書き易い方が効率が良いわけだし、
その道具選びの段階から真剣に臨んでいるわけですねこの人は。
見た目の可愛さでほいほい買ってしまう私のような人もいるだろうし、
このように書き具合に重きを置いてじっくり選ぶ人もいるわけで、
人それぞれの資質を見ることも出来るのだなあと
ペン売り場の試し書きメモを見てふと思った次第です。


ところで試しといえば私は洋服の試着というのがどうも昔から苦手で、
サイズが大体合ってたら買うっすよ自分、という感じで
なるべくぱっぱと試着して買っちゃうぞ作戦を敢行することが多いのですが、
一方でCD買う時などは慎重に試聴して吟味してから買ったりしているわけで、
物によって試し方の度合いが違うというのはあると思うのですよね。
ペンを慎重に試し書きして買った人も
他のどうでも良い物に関してはろくろく試さずに買っているのかもしれませんし。
まあ大事なのは買ってからそれをどう使うかなので
どっちの試し方が良いかという話ではないんですけどね。
「お世話になります」と実際試し書きしてみる的なアプローチを
どこにどのくらい取っているのか考えてみると面白いんじゃないでしょうかね。
自分の資質とか嗜好が見えて来るかもしれません。
何に於いても慎重に試してみるという人もいることでしょう。
まあ私の試着が苦手な理由は「気恥ずかしい」とか「面倒臭い」だけなので
いざとなれば鏡の前に陣取って何時間でも試着しますけどね。
まあいざとならないですけどね大体は。


そんなこんなで私はそこでペンを1本選び購入しました。
525円(税込み)で。
試し書きのメモには「こちらこそ」と返事しておきました。
私はそうして見えない者とのコミュニケーションを成し得たのです。
文房具屋で。