黄昏れはすいかの時
- 出版社/メーカー: VAP,INC(VAP)(D)
- 発売日: 2008/03/19
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俳優陣の顔ぶれや演技はとても素晴らしかったんですが、
全体的に何となく物足りなさも感じてしまいましたね。
特に何も起こらない淡々とした映画って割と好きなんですが、
あまりに何も起こらなさ過ぎるというか。
登場人物があそこに集まるに至る理由や内面があえて語られないのですが、
そこを語らないと物語として機能しないような気もするし、
こっちが想像する余地もそれほど見当たらないので見てる方は若干持て余すのですよね。
「かもめ食堂」では丁寧な料理の描写が物語として良い方向に機能していたんですが、
ここではそれがリアリティの無さに直結してしまってる印象を受けかねないのですよ。
どこぞの雑誌に載ってるみたいな小綺麗な料理ばかりですもんね。
映画内でキーワードのように語られる「黄昏れる」ですが、
本当に黄昏れる人はあんな小綺麗な食べ物や風景を必要としないと思うのですよね。
もたいまさこが作る840円(税込み)くらいしそうな上品なかき氷よりも
海の家の安いブルーハワイみたいな人工着色料ガンガン使ってる
ジャンク極まりないかき氷の方が黄昏れに直結するような気がするのですよね。
本当の黄昏れってもっと生々しい記憶や物に喚起されるものだと思うのです。
あれは一種のファンタジーなのでそんなものを出すと台無しなんでしょうけどね。
でもそこが何だか物足りなかったですね。
加瀬亮がつまみ何もないのにビール3本も空けてるのも惜しいというか、
コンビーフとか、煮干しとか、何か印象的なつまみ食べてたら良かったのにとか、
(コンビーフと煮干しがベストチョイスかどうかは置いておいて)
楽器を演奏するにしても中途半端に癒し系みたいな音より、
ティンパニとかコントラバスとか意外性のある音を出せば面白かったのにとか、
(ティンパニとかコントラバスがベストチョイスかどうかは置いておいて)
オセロよりも将棋とかウノとか麻雀だったら良かったのに思うのですが、
あえてそこに行ってない演出だと思うのでまあ好みの問題ですね。
これってある種ムーミンみたいな世界をイメージしてるのかと思ったんですが、
ムーミンになるには現実的な要素が多過ぎな気がするのですよね。
ただ小林聡美がかき氷食べた後の表情とか、惚れ惚れするくらい良かったですね。
あの人は素晴らしい女優さんですね。
何だかこのキャストと設定見てて「すいか」というドラマを思い出したんですが、
「すいか」って本当にしみじみと良いドラマでしたね。
もう一回見たくなりましたあのドラマ。
そうだ、「すいか」見よう。