私、Perfume@武道館を見学

先日Perfume武道館公演を見学に行ったのです。
こう書くと私の知り合いは思うでしょう。
「ああ五十嵐、行ったんだ」と。
私は言うでしょう。「ああ行ったのさ」と。
一緒に浅草に出ている職人さんに「これからPerfumeを見学に行くのだ」と言うと
「あんな小娘如きを見にわざわざ武道館へ行くとはきみは凄いな」と言うので
「あんな小娘如きが武道館を満員にするとはそっちの方が凄くないか?」と答え、
私は意気揚々たる面持ちで臨んだのです。
小娘如きを見に。


いざ武道館に着くとこれからPerfumeを見るぜという雰囲気の人たちで溢れており、
チケの有無を問い続けるダフ屋も大勢居て、交通整理の拡声器越しの声も響き、
さらには物販コーナーに並ぶ列の長さと熱気ももの凄いのであり、
「たかが小娘のライブに祭りの様相を呈している!」と私は驚愕し半ば圧倒されたのですが、数秒後には私もそこに並びパンフレットなど購入している有様なのであり、
しかも少しばかり浮かれているのであり、
私は自分自身がすっかりフェスティバルの様相を呈しているのに気が付いたのでした。


でまた中に入るとまた広いわけでここが満員になるのかと改めて驚いたわけなんですが、
武道館久々なので席がまたよくわかんないのですね。
仕方なく係員に「この席は何処ですか?」と問うてみると
「2階の西の○列の○番ですね」とチケットに書いてあることをそのまま述べるので
だからそれが具体的にどこか教えてくれ言うとるんじゃ、と思ったのですが、
これは「席くらい自力で探せよ男だろ」と男の資質を問われているのではないかと判断し、
仕方なく自力で探してようやく席に辿り着いたのです。
そして男子たるものこうでなくてはなるまいと思ったのです。
武道の精神で。


そんな精神で辿り着いた席の隣には地味で大人しい感じの男の子がぽつんと座っており、
どことなく私の知り合いの森田くんにちょっと似た感じの子で、
こういう子は普段学校では冴えないチームに所属してて
ギャルっぽい女子チームには「森田キモくね?」とか言われてるけど
実はサブカルに詳しくて音楽とか映画とか文学にも詳しくて
クラスの誰にも言ってないけどギター弾いて曲も作ってるんだ、みたいな子で、
クラスの女子が「Perfumeってそんな凄い可愛くはないよね?なんであんな人気あんの?」
などと会話してるのを聞きながら
「お前らに中田ヤスタカの楽曲の凄さなんてわかんねえだろう」と
内心思ってるようなタイプじゃないかと思ったのですが(あくまで想像ですが)、
私の並びはみんなそんな感じの男の子でしたね。
でも会場全体のお客さんの年齢層は見た所10代から50代くらいとかなり幅広いし、
女性客も大勢居たし、学生服で来てる子もいたし、子供連れで来ている人も結構居て、
すっかりお茶の間の人気者になったんだなという印象受けましたね。
アイドルおたくと音楽好きみたいなわかりやすい分かれ方というよりも。


で、いざライブ始まったわけですが、その私の隣の冴えない男の子(通称森田くん)が
どうしたんだってくらいに豹変してもうノリノリなのですよ。
踊るその子の腕がガンガン私の腕に当たり(森田アタック)、
ミディアムナンバーに於いては一緒に歌い(森田シンガロング)、
メンバーの名前を言うくだりでは大声で叫び(森田シャウト)、
汗と涙に濡れたメガネを取ってタオルで顔を拭うのです(森田タオル)。
私はこの子は普段学校で出せない自分をここで発揮しているんだと思い、
森田くん、良いんだよもっと暴れて。
この楽曲のかっこ良さを、Perfumeの素晴らしさをわかるのは俺たちだけだよな!
などと同士的な気持ちさえ芽生え、最後には私もノリノリになるに至ったのですが、
まあ彼の名前が本当に森田くんだったのかどうかは私自身わからないのですけどね。
でもその何となく森田くんぽい子のおかげで私もライブを楽しめたのです(森田マジック)。


そのライブですが舞台装置も照明も映像も音響もお金かかってるなあという感じで、
セットリストも練られた流れだったし、メンバーのパフォーマンスも最高で、
高度なエンターテイメントを見た!という感じでしたね。
メンバーも緊張どころか客いじりもMCも手慣れたもので、
もう武道館もすでに通過点になっているような印象すら受けましたね。
(あーちゃんが泣くかと思ったんですが泣きませんでしたね)
「大丈夫かしら?」と親の如き心配すらしてた私ですが
あんな堂々たるステージではドームでも大丈夫でしょう。


セットでは冒頭の「コンピューターシティー」の演出にまず吃驚しましたね。
ああいうライブ用のリミックスも中田氏がやってるのか気になったんですけどね。
それからの「edge」「エレクトロワールド」の流れの余りのかっこ良さと切なさに
私は思わず落涙に至りましたよ、隣の森田くんと共に。
(初演の「edge」」のダンスがかなりかっこよかったですね)
リストはどこかにアップされると思うのでそちらを参照して欲しいんですが、
ほぼ完璧なセットだったんじゃないでしょうかね。
初演曲も他に結構ありましたしね。
でもやっぱり「ポリリズム」と「チョコレイト・ディスコ」が最高でしたね。
SEVENTH HEAVEN」やっても良かったんじゃないかと思いましたけどね。
あとひねりのない直球ど真ん中の歌詞で勝負に来た新曲ですが、
歌詞だけ見るとこのまっすぐっぷりは如何なものかと思ったんですが、
いざ武道館で聞くと今現時点での新曲にはまさにこれが相応しいという印象受けましたね。
まさしくここで歌う為に作られた曲くらいな感じで。
ポリリズム」の変拍子をカットするようにレコード会社に言われた際に
わざわざ会社に説得しに行って入れたというくらいの人ですからね。
その人があえて直球を選択するのはやはりここしかないという判断だったんでしょう。
曲は直球ですけどバキバキのリズムで低音の出方も尋常じゃなく、
聞いてて中田氏の侠気を感じました。
まさに武道館ももう通過点に過ぎないという感じですね。
(実際次のでかいライブも決まってましたしね)
いやー大成功だったんじゃないでしょうかね。


で、ライブ終演後は別な席で見ていた石本さんとK氏と落ち合い、
軽く飲みに行ってPerfume談義して帰りました。
彼らは2デイズ参加するそうで、初日だけ見学の私とは熱が違うなと感心したのですが、
彼らのように2日間連続で見に行く人も結構居るのでしょうね。
まさにフェスティバルの様相を呈しているなあと私は思い、
隣の森田くんは今日のライブの興奮を日記に書くのだろうか、
そこには一体どんな思いが綴られるのだろうかなどと想いを馳せ、
ライブの余韻と共に電車に揺られて帰ったのです。
武道の精神で。
森田マジックで。