私、借りぐらしのアリエッティを見て

ふと思い立って「借りぐらしのアリエッティ」を鑑賞して来ました。
レイトショーなるもので。
ジブリ作品でも映画館で見るものと見ないものとに分かれるんですが、
これは映画館で見ても良さげな感じだったもので。
まずタイトルが良いですよね、これ。
「仮ぐらし」じゃなくて「借りぐらし」って何だろうと興味が湧くし。
キャッチとして実に秀逸ですよね。
今回の作品はストーリー自体「物語の序章」といった感じで、
割とささやかな感じのお話でしたが、
あえて小作品に留めているところが良かったような印象を受けました。
ここからさらに大きな展開も出来たんでしょうけどね。
魔女の宅急便」も当初はこのくらいのささやかな作品だったらしいですね。
一番の見せ場の後半の救出劇はあとから足したそうですし。
ジブリものって非宮崎作品だと宮崎作品と細かく比較されたり、
また宮崎作品同様、人間愛だの自然愛だの裏にある壮大なテーマが語られがちですが、
このくらいの小作品だとそういう小難しいことを語る要素もそうないですし、
気楽に見られて良いような気がしましたね。
今回の作品はまあざっくり言うと小人のお話なんですけどね。
今作も「魔女の宅急便」同様思春期の女子の成長と自立を描いていて、
その主人公アリエッティのキャラが魅力的で良かったですね。
凛とした表情の大人ぽさと脇の甘い感じの子供ぽさとか共存していて。
自分の武器(力になる道具)を持つ女子の姿というのはジブリものでは定番ですけどね。
今回その手の定番要素が満載でしたね。
必要以上に元気ではしゃぐおばあちゃんとか。
優しくて頼りになるお父さんとか。
で、美少年と猫とか。
最後ジムシィみたいなキャラも出て来ましたけどね。
あと出て来る食べ物がみな美味しそうとか。
ラピュタ」での食事シーンで食パンの上に目玉焼きを乗せたものを
シータが目玉焼きだけ先に食べちゃうくだりがあって、
私はそこを見る度に「パンと一緒に食べないと意味ないやん」と思うんですが、
それのオマージュみたいなシーンもあってにやりとさせられましたね。
野菜たっぷりのスープとかも美味しそうだったし。
角砂糖があんなに魅力的なフォルムなのかと再確認しましたよ今回。
茶店で角砂糖見る度にこの作品を思い出すことでしょう。
あとアリエッティの躍動感とか疾走感とか実に宮崎監督ぽい動きで、
監督が違う人だと知らなかったら宮崎駿だなあと思って見てたかもしれません。
小人のサイジングがまた絶妙でしたしね。
あれより小さいと触れ合いも出来ないだろうし。
家族の着てる服がみんな洒落てるけどあれもお父さんが縫ったのかしらとか、
そういう技術とか言語とかどこで学んだのかしらとか、
色々疑問が浮かびはするんですけどね。
子供たちはこれを見て家に帰ったら真っ先に小人を探すんでしょうね。
タンスの隙間に影が見えた!とか、
チョコが1個なくなってるけどあれは小人が持って行ったんだ!とか。
さらには冷蔵庫の下にさささ!と入って行った!とか。
(それはGという名の夏の黒い使者でしょうけどね)
幼少の頃読んだ佐藤さとるコロボックル物語とか思い出しましたよ。
いたら面白いのになあという想像力のスイッチが押される感じですね。
しかしいつの間にか職業声優さんを使わずに俳優さんが声を当てるシステムになってますが、
見てて俳優さん本人の顔が思い浮かぶとちょっと興ざめな部分てありますよね。
アメリカで声優さんと一緒になった時もその話題出ましたけどね。
もっと声優さんに匿名性があった方が良いような気がするんですが。
まああまり期待せずに軽く見に行って軽く楽しむと良いんじゃないでしょうか。


寝てる間に掛け布団が移動してたりするのも小人の仕業かもしれない。
そんなことを思いながら今夜は就寝することにします。