私、詩情主義で

もう空気がすっかり秋ですね。
つい数日前まで半袖を着ていたというのに
もう長袖数枚重ね着しているという不思議さ。
あのうだるような暑さが今となっては思い出せないくらいです。
いや、思い出そうと思えば思い出せますが。
冷たい雨の降る秋の日はそれだけで一編の詩のようですが、
そこに飛び込むとびしょぬれになるわ寒いわ面倒くさいわで
んもう詩情ったら!とその中の現実ってやつに怒りたくもなるのですが、
詩情の方も「え?何で怒られなきゃいけないわけ?」と困惑することでしょう。
難しい問題ですね。
一編の詩のような。
現実ってやつを前にして。


そんな中、先日荻上直子監督の「トイレット」という映画を見て来ました。
何の前情報もなしにふらっと見に行ったら良い映画でした。
にやりとさせられたりほろりとさせられたり、しみじみさせられたりで。
ばーちゃん役のもたいまさこ以外のキャスティングはみな外人さんで。
このキャスティングがまたハマってましたね。
個人的には主人公の職場の仲間のオタクの人がいいやつ過ぎて
ビールを奢ってあげたくなりました。
見た後みんなで餃子を包んで食べたくなるような作品です。
もたいまさこさんはこの先おばあちゃん女優として貴重な存在になるんじゃないでしょうかね。
まだおばあちゃんて年齢でもないと思うんですけどねご本人は。
煙草を吸うシーンが印象的でしたが、
これだけ嫌煙ムード蔓延の社会に於いて珍しいくらい丁寧な描写で。
この煙草の所作に監督の個性が一番出ていたのではないかと思ったりもしました。
現実で嫌なこととかあったりした人は
これ見てそういうこと全部水に流せば良いんじゃないでしょうか。
トイレットだけに。
http://www.cinemacafe.net/official/toilet-movie/


それにしても突然涼しくなったものだから
気持ち的に衣替えが追いついていません。
何をどう着て良いものやら。
詩情を着こなしているようなお洒落な女子を見ると
そのセンスをわけてほしいものだと思ったりもするのですが、
彼女たちも実は裏では現実の面倒くささに直面しているのでしょう。
そしてそれを乗り越えているのでしょう。
お洒落は我慢だとか言いますからね。
私も見習って詩情を音に取り込んでいかないとな、と思ったりしています。
秋の日に。