私、ベンダ・ビリリを鑑賞し

この間リハで神保町に赴いた際、某CDレンタル屋に寄ってネタ音源などを借りたんですが、
その時にレジで対応してくれたお姉さん(30代半ば)が目に見えてぐったりとしており、
「疲れてます、私」と吹き出しが横にくっきりと見えるくらいの様相で、
栄養ドリンクのCMオーディションでその様子を見せれば一発で合格だろうと確信されるほどだったので
ああこの人は大丈夫だろうか、仕事何時に上がれるのだろうかと見知らぬ人ながらその身を案じつつ、
もう少しだから頑張って!ガンバルンバ!などと、
懐かしいフレーズと共に心の中で声援を送ったりしたのですが、
先日「ベンダ・ビリリ!」という映画を渋谷に見に行った際、
会場ロビーでどうも見た覚えのある人がいるなと思ったら何とその時のレジのお姉さんで、
一瞬目が合って私は「おお、あの時の疲れてる人だ!」と即座に思い出したのですが、
向こうは私には一向に気が付いていない様子で
(まあ大勢のお客さんのうちのひとりだから顔を覚えてるわけもないでしょうが)
いうなれば片道切符の再会みたいな状況になっていたのですが、
こんなこともあるんだなあと思ったりした次第です。
いきなり「疲れは取れましたか?」とか聞くのも何ですし、別に話し掛けなかったですけどね。


で、結局その人と同じ並びで見ることになった「ベンダ・ビリリ!」ですが、
面白かったというか、バンドの音にすっかり魅了されてしまいましたね。
コンゴで路上生活を送る車椅子ミュージシャンや彼らに拾われたストリートチルドレンによるバンド、
スタッフ・ベンダ・ビリリがCDデビューして世界でライブ演奏するまでを追ったドキュメンタリーなんですが、
何よりもバンドメンバーたちの歌のメッセージ性と演奏のタフさに胸掴まされてしまいました。
コンゴの貧困、悪化する治安、路上暮らしを余儀なくされる子供たちの様子などが描かれてるんですが、
メンバーたちの歌は明るいし、演奏もグルーヴィーなのですよ。
そこらで拾ったようなギターとかよくわかんないパーツをつなげたドラムもどきとか、
楽器も満足に揃ってない状況なんですけどね。
中でもロジェという若者が自作した、空き缶に木の棒付けて弦を張っただけの楽器が凄くて。
それでジミヘンばりの超絶プレイを繰り広げるのです。
この日のトークゲストのいとうせいこう氏は
「廃品から新しい物を作り出すという姿勢はヒップホップそのものだ」という発言をしておりましたが、
そういう音楽のパワーをまざまざと見せつけられた感じでした。
別に車椅子だからとか路上で暮らしているからとかじゃなく、
単純にこの人たちの生きている力がそのまま音楽となって現れているから凄いという感じで。
もっとライブシーンをたくさん見たかったというか、どうせなら来日公演を生で見たかったですね。
いとう氏も言っていましたが来年辺りフェスでまた来日するんじゃないでしょうか。
その時はぜひ見たいものです。
音楽に力を貰ったという感じで見て良かったです。
疲れていたお姉さんも見て元気が出たんじゃないでしょうか。
いきなり「元気が出ましたか?」とか聞くのも何ですし、別に話し掛けなかったですけどね。


ところでベンダ・ビリリって「外見をはぎ取れ」とかいう意味だそうですね。
内面を見よということらしいです。
私はベンダビリリってガンバルンバと語呂的に似ているのではないかと気付き、
あの時思わずガンバルンバと声援を送ったのもベンダビリリが頭にあったからではないかと思い、
帰り道、何となく自分の中で腑に落ちました。
あのお姉さんがビリリを見た後元気に働いているかどうかCDを返却しついでに様子を見に行ったら
彼女はおらず代わりに元気なお兄さんがレジで働いておりました。
彼女がベンダビリリでガンバルンバしているかどうかはわからずじまいです。
まあわからなくても別に良いんですけども。
http://bendabilili.jp/