喜劇の人

KENTARO KOBAYASHI LIVE POTSUNEN 2011 『THE SPOT』 [DVD]

KENTARO KOBAYASHI LIVE POTSUNEN 2011 『THE SPOT』 [DVD]

小林賢太郎のひとり舞台「ポツネン」シリーズの2011年の公演「The SPOT」を鑑賞しました。
彼の舞台の独自の発想力と高い演技力、舞台の構成の素晴らしさには毎回舌を巻くのですが、
今回も巻かれまくりで舌がどうにかなりそうな勢いでした。
音楽も舞台美術も衣装も洗練されてていちいち気が利いてますし、
何しろひとつひとつのネタの密度が高いのです。
マジック、漫談、パントマイム、落語、言葉遊び、
あらゆるジャンルの芸が小林賢太郎という名の下に集っているというような印象です。
毎回これだけのクオリティを維持し続けるのは至難の技だと思うんですが、
裏で相当の労力と努力を注ぎ込んで苦しみながら作っているのでしょう。
それを微塵も感じさせないスマートさがまた魅力的で。
これだけ全体にアート性の高さが散らつくと敷居が高くなりそうなところを
絶妙なベタさとゆるいネタのバランスできちんと笑えるものにしている所が良いと思いました。
(DVDでは遅れて来たお客さんをいじるというくだりも収録されててそれが良かったですね)
小林賢太郎テレビ」なんかは笑うよりも先に感心してしまうきらいがありましたが。
今回は「これはお笑いの舞台ですよ」という意志がきっちり感じられる「笑える」作りで、
その喜劇人としての立ち居振る舞いが潔いなと思いました。
メイクの感じとかも若干チャップリンを彷彿とさせますしね。
この人の目指すのはそういう喜劇人なんでしょう、舞台の上に立ち続ける。
え、このフリがそのオチになるの?
という驚きの展開はマジック好きの彼らしさ全開でしたが、
特にラストのスポットを当てて現れる大オチには「おお〜」と声が漏れましたね。
DVDには観客のスタンディングオベーションが収録されていましたが、
私も見終わって思わず拍手をしてしまったほどです。
ひとりでこれだけのエンターテイメントを魅せるパフォーマーが他にいるんでしょうか。
毎回DVDを買って見ている割に一度も生で見たことがないのですけどね、彼の公演。
チケ争奪戦に勝てる自信がないもので。
そのうち何とかしてチケを入手し見てやろうかと思案しているところです。
オークションにて「チケ争奪戦に勝てる自信」が出ていたらまずは入札してみようかと思います。
先は長そうですけどね。