春を待つ人

いい加減寒いのにはうんざりしているわけです。
はいはいわかったよ、と諌めたい己がいるわけです。
もうお帰り、と帰宅を促したい己がいるわけです。
なのに飽きもせず冬野郎はここに居座り、寒波なんて代物を繰り出して来るわけです。
一体何なのでしょうか。
何を考えているんでしょうか。
何も考えていないのでしょう、阿呆だから。
阿呆の境地でこの極寒に至っているのでしょう。
目の前にある新聞紙が冬だとしたら「冬めっ!なんでこんな寒いんじゃっ!」と
その新聞紙を狂ったように八つ裂きにするくらいの怒りを心に秘めています。
冬が春のように暖かかったらここまで怒ることはありません。
新聞紙を丁寧に隅まで熟読し、丁寧に畳み、小脇に抱えてお出かけするでしょう。
しかし冬は寒いのです。いつまでも阿呆のように。
しかるに私は怒り狂い、新聞紙を八つ裂きにしたい衝動に駆られているのです。
本当に冬を八つ裂きに出来たらどんなに良いことかと日々新聞を広げながら思ったりしています。
ボールペンの頭をノックしたら春になったりしないかと思うに至り、ノックしてみるもならず。
ただボールペンの先が顔を出し、「何か書きますか?」と問うてくるだけなので。
私は仕方なく「春はまだか」とすらすらと書いてやるだけなのです。
寒いと文句を言うたところで寒さが和らぐわけでもないのですが。
これほど春を待ちわびている人がこの世にいるのだろうかと思うほど
私は春の到来を待ちわびています。


ライブの日以来体調が思わしくなく、
布団に伏せる機会が多かったのですが、
何とか復活し再び創作活動にこの身を投じ始めました。
曲を作ったり色々やっております。
取りあえず走り出さないと。
寒くて凍えてしまうかもしれません。
冬が急速に過ぎ去る魔法とかかけてくれないだろうかと
架空の魔法使いにお願いしながら春を待つ日々です。