ブラックな鳥

そんなわけで7月になってしまいました。
1年折り返してしまいました。
後半戦も頑張ろうなどと漠然とですが決意してみる次第です。


カラスなる存在は人間のゴミを漁っては食い散らかしカーカーと黒々した容姿で威嚇し、
見ていてあんまり気持ちの良いものではありませんが、
この間川の底からぐいんと上昇し羽根を雄大に広げ高く空に飛翔するやつの姿を目撃し、
あれあいつ意外にかっこいいじゃんと、クラス対抗リレー大会でバトンを受け取り
ぐいんと速度を上げ悠然と他のクラスを追い抜く普段地味で暗いはずのケンジの勇姿を見て
「あれ、ケンジってかっこいいかも」と見直すマユミ、
みたいな女子的目線でやつを見直すに至ったのですが、
ふといつものイメージと違う姿を目撃すると己の中の評価が変わったりしますね。
この間も2匹のカラスがじゃれあって後ろからつつきあったりして、
「ねえケンジーかまってよう〜」
「うっせえなあ、みんな見てるだろ離れろよマユミ」
「もーケンジったらー」みたいないちゃつきを展開しており、
やつらも可愛いとこあんじゃんとまた別な目線で見直す機会があったのですが、
こうも連続でカラスを見直す機会が我に訪れるとは一体何の前触れなのか、
五十嵐にカラスを見直させる会の会員による仕業であろうかなどと思いつつ、
まあカラスも普通の鳥だもんなあと当たり前のことに気付かされたのでした。
ゴミを漁るという人間ぽい行動と妙な知的さが鳥離れしている印象ですが。
巣を作るためにハンガーを持ち去ったりしますしね。
え、ハンガーに手を出すの?という感じじゃないですか。
人間の作り給うたアイテムを持ち去り人間の出したゴミを漁るという。
あの可愛げのなさは黒一色というデザインに起因するところが大きいような気がするんですが、
やつを作り給うた神様が夜更け過ぎの色会議で面倒臭くなって
「もうこいつ黒一色で良くね?」と投げやりであの色に決まったのでしょうか。
たけし軍団命名会議で「もうこいつそのまんまでいいよ」と殿が面倒くさくなって放った言葉が
そのまんま東になったみたいなノリでしょうか。
(そんなノリで黒一色になったカラスも可哀想ですが)
あとで「せめてワンポイント入れて下さいよう〜」と懇願するカラスに
「黒はシックでどんな色にも合わせやすいんだから」とか
「黒は女を引き立たせるんだから」と魔女の宅急便のキキのお母さんみたいな台詞で
何とか諌めたんでしょうか。
黒一色はある意味かっこいいデザインですけどね。
カラスはもっとかっこいい一面とかキュートな一面とか
悪ぶってるけど横断歩道でおばあちゃんの手を引いていたとか、
意外な側面を見せて好感を抱かせる作戦を取った方が良いような気がします。
ゴミを漁ったらまた袋を元の位置に戻して散乱したものも全部処理して
「いただきました。ありがとうございました〜」と去っていく配慮を得れないものでしょうか。
そうすれば人間に嫌われないものを。
立つ鳥跡を濁さずということわざを全否定しているのがカラスですからね。
あのことわざを作った人も「カラスのやつ〜!」と怒り心頭でしょう。
最近は電柱で何か物思いに耽っているようなカラスを見かける度に
マユミと喧嘩したケンジが落ち込んでいるのではないかなどと
擬人化して見るようになりました。
くよくよするなよケンジ、などと慰めていると
突然ばさばさと私の頭上を通り過ぎたりするので
「もうお前のことなど心配しねえ!」と思い直したりするんですけどね。
1年の折り返しにカラスの話など書いている場合かと思いながら
7月に走り出す私です。