7月の選手交代

長年使用していた機材(マイク用プリアンプ)がどうにも調子悪く、
使う度に「ががががががが!」なる極悪なノイズが私の鼓膜とハートを刺激するので、
これはもう故障であるなと認定し、仕方なくネットを検索し、
同じ品の新機種版を格安で見付けるに至ったのでえいやと購入したのですが、
いざこれが届き早速試してみたところ、やはり微妙なノイズが聞こえるのであり。
これは何なのだろう、私の耳が悪いのかとケーブル類を交換して試すも、
やはりこの新たに購入した機材がノイズを放っているようであり。
「ざわわ…」という森山良子の歌詞のようなカイジの擬音のようなノイズで、
聞いてる私のハートまでざわわ…と波打つ具合なのでこれはいけねえと
購入したショップに問い合わせ、修理願いの旨を伝え商品を送り返したのですが、
そうなると手元には故障した機材しかなく、
レコーディング作業が中断されてしまうなと困惑に至ったわけです。
そこで仕方なく故障した方のプリアンプを試しに使ってみたところ、
これが今までの「がががががが!」が嘘のようにノイズが消えており、
すっかりクリーンな音を取り戻しているのであり、
「何も支障ありませんけど何か?」とばかりに澄ましていやがるので、
何だお前故障していたのではなかったのかっ?と
胸ぐらを掴んで問いつめたい衝動に駆られたのですが、
(どこが胸ぐらかわからなかったのでやめましたが)
新しい機材を買った途端に直るというのはどういう了見なのでしょうか。
これは旧プリアンプくんが私のことを舐めていて、
「あーあ仕事たるいぜえ。五十嵐のやつ俺をこき使いやがってよう〜」と
煙草をくゆらせながら怠慢にががががが!などと雑音を放っていたところ、
突然新入りの若き美青年が現れ「あなたはもうクビです。お引き取り願えますか」と
自分のポジションを奪おうと乱入して来たので
「わ、ちょっと待って!ごめんごめん俺ちゃんと働くから!捨てないで!」と
急に姿勢を改めると同時にあまつさえ新入りくんへ妨害活動をするに至り、
おかげで新機種の方がノイズを放つようになったのではないかなどと想像し、
「お前〜」と憎々しく旧プリアンプくんを睨んだ私なんですが、
背に腹は代えられません。
取りあえず修理から戻って来るまではこやつを使うことにしたのですが、
結局その後も何の支障もなくすいすいと使えてしまったので
どうしたものかという感じになったのですが、
折角新機種を買ってしまったし(買ったと同時に修理までしてしまったし)、
修理から届いた時点で旧プリアンプくんには暇を与えたのでした。
急に直ったのはロウソクの炎が消える直前に大きく燃え上がる的なあれだったのでしょうか。
それとも一時調子悪かっただけで本当に故障はしていなかったのでしょうか。
何にせよ困ったやつです。
今は新機種くんでクリーンな音を録音しています。
しかしこれもざわわ…というノイズが聞こえて来たら要注意です。
旧プリアンプくんの復活ののろしかもしれません。
俺はまだ終わってない、俺にもう一度チャンスをくれというメッセージ。
取りあえず旧プリアンプくんの方も捨てないで手元に置いておこうと思っています。