思い出を、即決で。

ヤフーオークションというサイトをたまに利用するのですが、
(あれっていつの間にか「ヤフオク!」という「けいおん!」ノリな名称に変わってましたね。)
あれで出品している人の情報を見ると「あれ?知り合いかな?」と思うことが稀にあるのですよね。
出品している商品の傾向とか住んでる地域とかハンドルネームとかで。
まあ幸い(?)にも今まで知り合いに遭遇したことはないのですが、
あそこで偶然に知人に出会う可能性も無きにしも非ずだなと思うと、
出品したものや落札したものの履歴を見られると微妙に恥ずかしいかもなあと、
己を省みてしまうのですよね。
わ、こいつ結婚式の引き出物を出品してるよとか。
アイドルグッズばっかり落札してるよ、とか。
(私はその類いの物は取引きしたことはないんですが。)
あそこでいざ落札してみて相手が知人だったら(しかも微妙な距離の知人だったら)、
何となく「同姓同名同住所同番号だけど別人でーす」
という振りをするのが礼儀なような気がしてしまうのですが、
そんなことはないのでしょうか。
「え、ひょっとして4丁目の田中酒店の田中さんですか?」みたいな、
個人的なメッセージを送って良いものか逡巡するような気がするのですよね。
あくまでも商品をやり取りする場なので。
その点、有名人の方とかはどうやって出品や落札をしているのか気になるんですが、
やはり本名で取り引きするんでしょうか。
まさか取引相手も「え、落札者の名前、矢沢永吉?まさか永ちゃん本人?」と思っても
「ひょっとして成り上がりの人ですか?」とは聞きにくいですよね。
(まさか永ちゃんヤフオクを利用するとは思えませんが。)
私がもしヤフオクで有名人と同姓同名の人と出くわしてもやはりそこには触れないと思います。
「え、長渕剛?」とか思ったとしても。
(長渕が私の出品物の何を落札したんだって話ですけどね。)
出会うという点に於いてはあそこで出品者と落札者として出会って、
そのまま恋愛に発展するようなケースも稀にあるんでしょうかね。
同じアーティストのグッズを複数回やり取りするうちに
「あなたも嵐のファンなんですか?誰推しですか?今度一緒にコンサート行きましょう!」
みたいな展開になったり。
その後コンサート会場で会って意気投合みたいな。
(まあグッズを多数出品してる時点でファンじゃないじゃんという話ですが。)
いいとものアンケートで
ヤフオクで出会って付き合ったことある人」と問えば1人くらいいそうな気もします。
(何となく人に言いにくいきっかけですけどね。)
この広い世界でピンポイントで「あの商品が欲しい!」「この商品を売りたい!」が合致するというのは
ある種奇跡に近い出会いだと思ったりもするのですよね。
レアな個人コレクションであればあるほど。
たまに「某アーティストの切り抜きコレクション150ページ分」みたいな特殊な商品を見かけると
「よく集めたな!」という感想と同時に「なんでそれ手放しちゃうの?」とも思うんですが、
それをある程度のお金で買ってくれるファンがいたら譲る方も嬉しいことでしょう。
人の長年の思い出ごとお金を介して取引きされるというのはロマンチックなようなリアリスティックなような複雑な思いもしますけどね。
そんなロマンとリアルの出会いが日々ネット上で行われていると思うと不思議になると同時に、
そこで知人に1回も出会わないというのも不思議な気もします。
ひょっとして過去知り合う前に出会っていたのかもしれないですが。
「どうも初めまして」
「いや、私あなたとは初めてではないんです。」
「え、どこかで会ってましたっけ?」
「私あなたの思い出を買ったことあるんです。1500円即決で。」
「えっ?」みたいな。
小説の書き出しのようなロマンチックな出会いです。
「1500円即決」の部分がなければですけどね。