雨の季節サウンズ

何とまあ雨の降らない梅雨だとぼやいているうちにようやく梅雨らしい空模様になり。
ビニール傘越しに世界を眺める日が多くなりました。
しかしアトム誕生から10年経つこの2013年に至っても雨を凌ぐ道具は傘なのかと思うと、
傘の道具としての完成度の高さには改めて感心せざるを得ません。
江戸の時代から我々はこれで雨を除けて来たのですね。
そんな系譜を雨音に感じながら灰色に濡れた街をそぼ歩く私です。
この雨の季節、いつまで続くのでしょうか。


そんな折、先日は鎌倉molnにて安宅浩司さんと田辺玄さん+森ゆにさんのライブを鑑賞し。
素晴らしきギターの音色と澄んだ歌声に魅力されました。
安宅さんとは普段山田バンドで一緒に演奏しているのでその魅力は熟知しているつもりですが。
またソロとなると違った特別な魅力があるわけです。
朴訥としながらも艶のある声で歌われる、大人の男の飾らない感情の機微が綴られた言葉。
それを乗せた優しげなメロディー。
聞きながらしみじみとしてしまった次第です。
またそれを支えるギター1本の表現の豊かさたるやです。
アルペジオストロークや時には単音で旋律を奏でつつの伴奏に改めて聞き入ってしまいました。
ふちがみとふなとの「歌う人」のカバー(原曲はダニエル・ジョンストンだそう)や、
同じ鎌倉で食堂を営んでいる後輩のために書いた食堂のテーマ曲など、
レアな曲もたくさん聞けました。
改めて安宅浩司、魅力的な男なり、と惚れ直した次第です。
water water camelのギターリスト田辺玄さんのソロはインストで、
静かなアルペジオに始まり、ルーパーを駆使しフレーズを重ねたり、
環境音を重ねたり、森ゆにさんのコーラスを重ねたり、
まるで水彩画を描くような演奏でとても心地良かったです。
本番前に外で録って来たという鎌倉の環境音から始まり、
彼の住む山梨で録って来たという環境音で終わるという、
鎌倉と山梨という2つの場所を音で繋ぐという演出も粋でした。
そこにタイミング良く外の電車の音も被さったりして。
とても旅情溢れるリスニング体験でした。
ライブハウスと違った小さな空間での演奏の良さというのはあるものです。
周りの環境音や街中の空気感も演奏に加味されるのですね。
この間自分が演奏している時も感じましたが。
そんなわけで毛色の違ったギターリスト2組の演奏に触れ、
ああ自分もギターに向き合わないとなあと、改めて刺激を受けた次第です。
見に来ていた山田氏とも「良かったすねー」などと語り。
来たる6月27日は吉祥寺スターパインズカフェにてその山田バンドで私と安宅さん、共に演奏します。
平日ですがぜひ興味ある方はご来場願いたい所存です。
スターパインズで演奏するのは知人の結婚パーティー以来です。
何年振りでしょうか。


外へ出かけて音楽を聴きにいくという行為をもう長年続けていますが、
色々な風景と共に色々な想いを抱くきっかけになるので、
年々重たくなる腰を持ち上げてなるべく出かけていくようにしたいものだと改めて思う次第です。
雨の季節ですが。
それもまたよいものです。