火曜日のデート

気が付けば7月です。
早いのです。
イギリスから帰って来てからというもの溜まっていた仕事やらライブの準備やら雑務に追われ
文字通りバタバタしておりましたが、
そんなバタバタキープオンのまま7月1日のfwjライブも無事終了しまして。
(直前にここで告知する余裕もなかったんですが、実はライブがあったのです)
今回は駒沢大学の裏通りにある隠れ家的人気フレンチレストランbistro-conflさんにて、
「火曜日のデート」と題してイノトモさんと2マンライブを行いました。
蓋を開けてみれば満員御礼で、たくさんのお客さんにお集まりいただきました。
ご来場下さった方々、本当にどうもありがとうございました。
前にコンフルさんにランチを食べに行った際、
そこのシェフの関口さんと「ここでライブとかやれたら良いですね」みたいな話になり、
「じゃあやりましょう!」とその場で決まったというイベントだったんですけどね。
お店の定休日の火曜日を利用して行うということでじゃあタイトルは火曜日のデートだ、という感じで。
(タイトルを付けるにあたり何か火曜日にまつわる有名な曲名とかないかなと探したんですが、
あるのは金土日ばかりで平日は歌になりにくいんだなと思いましたよ)
イノトモさんとfwjで一緒にライブやるのは実に10年振りだったんですけどね。
私が「残響ピクニック」出した直後くらいの頃にご一緒してまして。
fwjはたまにしかライブやらないですが、
それでも10年間続けて来たんだな〜と少し遠い目をしたんですが、
まあぎゅっと凝縮したら6ヶ月程度の活動にしかならないので(笑)、
まだまだ先は長いなと未来を見つめた次第ですけどね。
実はちょっと前にたまたま吉祥寺に立ち寄る機会があり、
「そういえば近くにイノトモさん行きつけのバーがあったな」とふらっと立ち寄ったら
すぐその後にイノトモさんご本人が現れるという偶然があり、
驚きつつもその後そこで一緒に飲みながら「火曜日のデートどうする〜?」などと
端から聞いたらカップルの如きスウィートな会話を行ったのですが、
そこでイノトモさんの名曲「恋のかぞえうた」を一緒にセッションしましょうと相成り。
我々fwjバンドは事前に練習しておいたわけです。


そんなこんなで迎えたライブ当日なんですが、昼間にイノトモさんから突然の電話があり。
何事かと聞けば「実は私、昨日急性胃腸炎で救急車で運ばれて〜」とのことで。
何たることかと私は驚き、これは五十嵐にイベントを順調に遂行させない会の会員による工作かと思い、
また瞬時に「すわ、出られないのか?うちらが倍の時間やるパターンか?」と思考を巡らせたのですが、
聞けば「何とか本番には会場に赴き歌えるのだが体力を温存したいのでリハを休みたい」との旨で。
私は「さすがプロは舞台に穴を開けないんだな〜」と彼女の根性に感心したのですが、
もし出られなかったら果たして我々で倍の時間演奏出来ただろうかと考え、
イノトモさんが根性持ってて良かった!」と震えて感謝したのですが、こんなこともあるのですね。
そんなわけでイノトモさんはリハなしのぶっつけ本番、
当然我々とのセッション曲のリハもなくなり、そちらもぶっつけという事態になりまして。
もうぶっつけちゃえ、豆腐に頭ぶっつけちゃえーとばかりに本番へ臨んだんですが、
我々は集合時間にきちんと集まり開場の時間までみっちりリハしまして。
この期に及んでひたすらに練習してるよこの人たち、という感じだったんですけどね。


そんなみっちりリハ後、いざ開場時間になってお客さんがいらしても受付の人がおらず、
あれそういえば受付どうするんだろうと思いシェフの関口さんに聞くと
「あ、五十嵐さんお願いします!」とのことで、
「え、お釣りのお金とかってありますか?」と問うと
「あ、ない!じゃあ両替行って来ます!」とのことで外へ飛び出し、
開場時間を過ぎてシェフが両替に行くというバタバタぶりで、
その後も「車椅子のお客様の誘導を」だの「椅子が足らなそうです」だの
「椅子はあるけど置く場所がない」だのバタバタとお客さんを迎えているうちにイノトモさんが来場し。
「すみませぬ〜」と現れたイノトモさんは完全病み上がりテンションで
「今日大丈夫かな〜」と一抹の不安を抱いた私なのですが、
もう彼女の根性を信頼するしかないわけです。
そんなこんなしているうちにシェフによる美味しそうな料理が次々と出て来て。
(今回はレストランならではのブッフェスタイルの食事付きライブだったのです)
さすがは人気店のシェフなのです。
バタバタでも料理は一流なのです。
私は「ううむ美味そうであるな」と横目で確認したものの、
まだお客さんが全員着席してないのに仕切りの私がばくばく食べるわけにもいかず。
するとベースの鎌田氏が「これ食べていいんですか」と聞くので
「鎌田さんは食べてて良いですよ」と言うと早速カレーなどをもぐもぐと食しており。
彼はカレーの似合う男であるなあと好ましく思った次第ですけどね。
まあそんな鎌田カレーとバタバタを経た後、開演の時間になりまして。
久々のfwjライブと相成りました。
久々にここにセットリストを記します。
1、読みかけの夏
2、透明図書館
3、草原ヘッドフォン
4、ジャングルジムで鯨釣り(新曲)
5、仔鹿とピクニック(新曲)
6、マッチ擦る刹那のダンス
7、歩けリリー


一応進行形の姿を見せないとなあと思いリストを組んだら音源化されてない曲ばかりになってしまい、
過去の曲を期待されていたお客さんには少々がっかりだったかもしれないですが。
(1stの「残響ピクニック」や私の昔のバンド時代のCDを持参して来たお客さんがいて驚きました。
喜んでサインをさせていただきましたよ)
1曲目は7月1日で夏の始まりということで「読みかけの夏」を演奏し。
久々に演奏しましたがやはり夏を感じましたね。
見に来てたお客さんがライブ後にツイッターに「"読みかけの夏"でわたしの夏、はじまった。」
と素敵なキャッチコピーのような感想を書いておられたので、
私も早速「読みかけの夏で我々の夏、始まりました」と引用してツイートしたのですが、
私の方はなぜか「冷やし中華、始めました」みたいなテンションで読めてしまうなあと
己の素敵度の低さに少々がっかりした次第ですけどね。
(このツイートを書いてくれた方も「残響ピクニック」からfwjを聞いてくれていたそうです)
2曲目の「透明図書館」の前には本のページが捲られるシーンについて語ったんですが、
今後この曲を演奏する時は毎回何かしらの本の話をするかと思います。
これは久々に演奏出来て良かったですね。
あと今回は新曲を2曲用意したんですが如何だったでしょうかね。
「ジャングルジム」の方はこれまでとちょっと違うアンサンブルを試みたんですが。
この曲は今後またどんどん成長するかもしれません。
「ピクニック」の方は「朗読する」ということくらいしか決まっておらず、
直前まで構成も決まってなかったんですが、何とか演奏してしまいましたね。
ひたすらに韻を踏んでいく歌詞なんですが、披露出来て良かったです。
どっちもそのうち発表出来れば良いなと思います。
お客さんに「アルバムまだですか」と言われてしまったので頑張らなくてはいけないなと
決意を新たにした次第です。


まあそんなこんなでfwjのステージも終わり。
自身の機材を片付け、イノトモさんのセッティングを手伝っていると
ベースの鎌田さんが再びカレーを食しているのが目に入り。
私は「あれデジャヴかな」と既視感を感じたんですが、
あれは夢か幻だったのでしょうか(笑)。
そんな鎌田カレーを経て始まったイノトモさんのステージですが、
最初はやはり声もギターも本調子でない感じだったんですが、
中盤から尻上がりにぐんぐん調子が良くなって来て、
後半はもういつものイノトモワールドという感じでとても良かったですね。
歌っているうちに自身の歌が癒しになるというか、
歌の力で元気が湧いて来るんだろうなと見ていて思いました。
歌には聞いている人だけでなくて歌っている本人も治癒する力があるのだなと。
撫でるように、優しく触れるようにささやき、また時には朗々と歌い上げ、
会場を広い海の如き母性で包み込むような、そんなステージでした。
実は私がイギリスに行っていた数週間前に彼女もイギリスに行っていて、
同じホテルに泊まって同じアビーロードスタジオを見学に行っていたんですよね。
「行動同じ〜」と吉祥寺で盛り上がったんですが。
MCではそんなトークも展開しておりました。
あと少女時代に家の中を手鏡を下に見ながら歩き、
逆さまの世界に見立てて遊んだというエピソードが面白かったですね。
「あとで自分もやってみよう」と思った次第です。
(電車内でやるとミラーマンの二の舞になるので注意が必要ですけどね)
そして最後アンコールでは「恋のかぞえうた」をセッションし。
その場で「どっちバージョン?シングルの方?」
「譜面と同じ進行で大丈夫?」などと打ち合わせをして。
せーのでいきなり合わせた感じですが、初めてにしては良かったんじゃないでしょうか。
ちゃんとバンドぽくなっておりました。
火曜日のデートっぽく恋を数えられたのではないでしょうか。


そんな感じで何とかステージも無事終えることが出来まして。
その後は機材を片付けて荷物をまとめてなどまたバタバタで、
折角おいしい料理が用意されてたのに私は最後までひと口も食べることが出来ず、
「嗚呼、今日は何も食べずに帰るのか…」と肩をがっくり落としていたのを見かねたのか
シェフの関口さんが「五十嵐さん、カレー食べていきます?」と気を使ってくれて。
残ったカレーをその場でいただきました。
いやー美味しかったですね。
あの鎌田さんがおかわりしていたくらいですしね。
まあ食事に関してはイノトモさんも食べられなかったんですけどね。
体調の問題で。
「美味しそうなのに〜」と悔しがってましたけどね。
そんなわけでバタバタでしたが、何とか終えることが出来ました。
また機会があればぜひやりたいものです。


しかし帰りの電車の中で
「あれ、そういや俺今日お昼にカレー食べたんだったわ!」と気付き、
まさかのカレー被りであることが発覚したのですが、
五十嵐にカレーばかり食べさせる会の会員による仕業だったのでしょうか。
まあカレーとはいえ全然味が違うので別物といえば別物なんですけどね。
カレーを2度食べた、という点に於いては鎌田さんと同じですし(笑)。
そんな彼とカレーに想いを馳せつつ家路に着きました。


お時間ありましたらまた次のデートでお会いしましょう。
とにかく胃腸には。
くれぐれも気を付けて。