10月の復活劇

先日はGOMES THE HITMANが7年振りにライブを行うということで、
その再始動の瞬間を目撃すべく吉祥寺まで行って参りました。
バンド再始動の話はだいぶ前(去年くらい?)に山田氏から聞いていて、
いよいよ時が来たか!とひとり興奮したものの、
彼は相変わらずソロでガンガンライブやってるし、
ひなたのねこ展などのイベントにも忙しそうで、
果たして本当にゴメスやるのかしら、
今流行りのゴメスゴメス詐欺じゃないのと疑念を抱いたりしていたのですが、
夜の科学の際に配布された10月11日のチラシを目の当たりにし、
本当にやるんだな!と再び興奮したわけなのです。
何しろ7年です。
小学生が中学生になってしまう年月だと思うとえらいことです。
その時を飛び越えてバンドが再び音を鳴らすのです。
これを目撃しないわけにはいかないのです。


当日、開演ギリギリに会場のスターパインズカフェに着くとチケが即完しただけあってすでに超満員で。
会場は客席からのバンド再始動を待ち望む熱気に溢れており、
寒がりの私ですらカーディガンを脱いだほどです。
(単に空調が効いてなかっただけではないのです)
山田氏の第一声「こんばんは、GOMES THE HITMANです!」が
7年振りに放たれると思うと感慨深い、
という旨を私は事前にツイッターに書いたのですが、
果たして本当に彼の第一声がそれなのか、
「どうも〜」とか「ごぶさた〜」とか、
いきなり「待たせたな!」くらい言うかもしれぬと、
私は1曲目予想よりも第一声予想に余念がなかったんですが、
そうこうしてるうちに客電が落ち、
BGMと共にメンバーがステージに現れると客席からたくさんの嬌声が飛び。
私も「おお!ゴメス全員いる!」と興奮しているうちに
聞き覚えのあるピアノのイントロが会場に鳴り響き。
「おお!『雨の夜と月の光』だ!デビューシングル曲だ!」と、
バンド再始動の1曲目にこれを持って来たか〜と私は興奮し、
聞き覚えのあるギターカッティングをエレキで弾く山田氏の姿を、
ピアノを可憐に弾く堀越さん、後ろでどっしりとベースを弾く須藤さん、
軽やかにドラムを叩く高橋さんの姿を見やり、
バンド復活の瞬間をこの目に焼きつけたのでした。
1曲目が終わると山田氏の口から「こんばんは、GOMES THE HITMANです!」が放たれ。
おう、第一声キタ!と興奮しているうちに(何回興奮しとんねんという話ですが)、
バンドはすかさず2曲目「ストロボ」に突入し。
前に巣巣で山田氏と「weekend」についてのトークライブを行った際、
堀越さんとオクターブユニゾンで歌うスタイルが定番だったという話題が出ましたが、
まさしくこの曲でそれが展開されており。
おお、まさしくゴメスサウンド!と思わずにやりとした私です。
客席もすでに興奮の坩堝と化しておりました。
しかし山田氏からの一発目のMCではそれこそ「待たせたな!」発言も飛び出したんですが、
私から見たら何だかいつもの彼と比べて喋りが硬く、
少々緊張してる様子なのであり。
普段の夜の科学オーケストラでのリラックスっぷりとは別人のようで。
(後で聞いたらやはりだいぶ緊張していたとのことでした)
彼は普段あまりチューニングも気にせず、
「山田くん、チューニングを」と安宅さんに静かに指摘されるのが常なのに、
この日は1曲毎に念入りにチューニングを繰り返しており
(チューニングが狂いやすいギターだったようですが)、
カポを付ける所作もひとつひとつ確認しながら丁寧にしていて、
その緊張感が見てて新鮮というか、
ソロじゃなくてバンドの一員として音を鳴らすというのはこういうことなんだなと思った次第です。
(まあ夜の科学オーケストラもバンドなんですが)
しかしステージが進むにつれてそんな緊張感も気にならなくなりましたけどね。
次に演奏された「アップダイク追記」はバンドで聞くのは本当に久々で、
聞きながらぐっと心を掴まれてしまいましたね。
10数年前の若き己の心象と重ね合わせたりして。
その次からはアルバム「weekend」からの曲が立て続けに演奏されて。
音源に比べるとどの曲もテンポがゆっくり目で、
曲自体は若いけど大人の落ち着きが加味された演奏でとても良かったですね。
「長期休暇の夜」の「花火を持って〜」のくだりでは
かつて見た若き日の花火の煌めきが鮮明に浮かび上がりました。
それを奏でているのが全員40代というのがまた良いじゃない、と
しみじみしながら聞いてしまいました。
「お別れの手紙」から「train song」の流れもぐっと来ましたね。
途中のMCではメンバーから「このひとりっ子め!」などといじられる山田氏という図が展開され、
普段ソロで放っている俺様空気(褒めてます・笑)に慣れていたので新鮮に思うのと同時に
ゴメスってステージではこんな感じだったなーと思い出した次第です。

その後、アコースティック編成で「coffee」を演奏し
(堀越さんのアコーディオンが素敵でした)、
村田和人さんプロデュースの「緑の車」を
あえて村田さんのバージョンでやらないというひねくれっぷりを見せ。
(この日の会場は村田さんのライブが入っていたのがキャンセルになり、
代わりにゴメスがライブをやれる運びになったというブッキングの経緯が語られてました)
その後はアルバム「cobblestone」から「思うことはいつも」「午後の窓から」が演奏され。
こういう良質なメロに文学青年の想いを綴った言葉を乗せ
シティポップス風に仕上げた楽曲というのがゴメスの真骨頂だと思うんですが、
それが堪能出来ました。
でもって立て続けに演奏された「手と手、影と影」です。
ジャックスカードのCM曲としてお馴染みのこの曲、
これをきっかけにゴメスを知ったファンもたくさんいるのではないでしょうか。
私もテレビで流れる度にいい曲だなあ〜と耳を奪われていた、
個人的にも思い入れのある曲であり、
この曲を堀越さんの切ないピアノの旋律と
高橋さんの繊細なハットさばき、
ボトムを支える須藤さんのベースと共に聞けて改めて感動してしまいましたね。
荒川土手で夕景を眺めながらこの曲を聞いて泣いたあの日のことを思い出したりしながら。
この3曲続けて来たか!という感じで。
でもって「情熱スタンダード」に続き
本編最後は「饒舌スタッカート」で締まりまして。
私の記憶ではサポートギターのアッキー氏があの印象的な
「ベロベロバー」というリフを弾いていたと思うのですが
(舌だけにベロベロバーですよ、みなさん)、
今回は山田氏と須藤氏が弾いており。
聞くと今回は4人編成なので、出来る人がフレーズを再現するというスタイルだったそうで。
凄くライブ感もあって良い演奏でしたね。
ちょっとレゲエぽくなるくだりのかっこよさたるや。
会場もこの日一番の盛り上がりでした。

で、その盛り上がりを受けてのアンコールでは「拍手手拍子」で客席中から手拍子が溢れ、
会場全体が一体となり。
メンバー全員のラララコーラスも多幸感に満ちていて盛り上がりましたね。
そして最後には「僕はネオアコで人生を語る」で7年振りのステージを締めるという構成で。
この曲でエレキを掻き鳴らしながらハープを吹く山田氏の姿がディランのようであり佐野元春のようであり。
ロックスター然とした振る舞いに「この人、華があるなあ」と感心した次第です。
普段「ポっちゃん〜」と愛猫にデレデレしている山田稔明の姿はそこにはなかったですね。
しかし本当にバンドというのは不思議なもので、
メンバーが集まり音を出すと言葉で説明出来ないマジックが生まれるのですよね。
この日は満員のお客さんの待望する空気も相乗効果を生んでいたように思います。
メンバー全員楽しそうだったし(山田氏は前半ガチガチだったですけど)、
前期の楽曲中心の15周年に相応しいセットリストも良かったし、
総じて良いライブだったと思います。


でもって終演後は私も打ち上げにも混ぜてもらい。
ビールなどいただきました。
メンバーは何やかんや忙しくなかなか乾杯が始まらないので
イトケンさんや高橋徹也氏やらと談笑してたんですが。
出て来たポテチを食べてイトケンさんが
「あ、これカルビーじゃなくてコイケヤだ」と言うので
「へー、味わかるんですか」と問うと
コイケヤの方がコンソメの味が濃いんだよね」とのことで、
それを聞いて今まで寡黙だった高橋徹也氏が
「そ、それ…わかりますっ!」と激しく同意し、
ポテチの味で2人の音楽家が意気投合する瞬間を目撃するに至りました。
(しばらくコイケヤカルビーの違いについて考察が続きました)
全然ゴメスと関係ないじゃんという話ですが。
ホットコーヒーを飲みながらポテチをもぐもぐ食べてる高橋氏が何か面白かったですけどね。
その後メンバーさんにも挨拶させて貰い、
プレクトラムのタイスケさんとお話させて貰ったりし
(芸人並みのトークで笑わせていただきました)、
楽しいテンションのまま帰りました。
会場には普段ソロの現場では会わない知らない大人の人ばかりで、
山田氏もあちこち挨拶に回っていて大変そうだなーと眺めてましたが、
ゴメスが動き出したんだなあと感慨深くなった次第です。
バンドは今後も活動が継続するとのことなので、
また見に行ってレポしたいものだと思っております。
新しいファンも増えているようですしね。
入手困難になっていた音源もiTunesで買えるようになったので、
興味持たれた方はぜひ聞いてみては如何でしょうか。


帰りは途中コンビニに寄ってコイケヤのポテチを買ったのは言うまでもありません。
とりあえずゴメス・ザ・ヒットマン祝復活ということで。