私、THE MANZAI2014を視聴し

今年もTHE MANZAIの季節がやって来て、去って行ってしまいました。
今年もざっと感想を書いてみます。


2丁拳銃はガラガラガッサーンなどの印象的な擬音を次々と被せていくネタで、
生きているのと問い続けるボケに活け造りを放り込む構成も巧かったですし、
途中伊勢エビで対決するという飛躍を盛り込んだところも良かったですね。
芸歴20数年であんなノリを出せるのは素晴らしいと思いました。
1番手でやりにくかったでしょうが、
きちんとやり遂げて流石の貫禄を感じました。


エレファントジョンはテンポも良く、
4分に余すことなくボケを詰め込んで見事でしたね。
TOTOのボケもハマってましたし。
ただ緊張していたのか若干上滑りしてた感もありましたね。
おそらく練習の賜物であれだけ流れで出来たんでしょうが、
会場の空気を掴み損ねた印象がありました。
でも緊張感の中、あれだけの漫才が出来るのは凄いと思いましたね。
これを機にもっと売れて欲しいところです。


アキナは途中からシチュエーションコントに流れる王道の漫才で、
ボケの内容も喋る間も表情(カメラはちゃんと顔を映して欲しかったです)もいちいち的確に面白く、
出来栄えはかなり良かったですね。
エレファントジョンが畳み掛ける内容だったから尚更、
審査員の言う「ゆっくりでわかりやすい」が効いた気がします。
五連休、ソフランなどの言葉のチョイスにセンスを感じました。


磁石のネタはかなり昔にオンバトな何かで見た懐かしいやつでしたが、
正直他にもっと面白いネタあったろうになあと思ってしまいましたね。
野々村議員のくだりは正直スベってましたし。
それでも流石のクオリティでしたけどね。
ちょっと空気を掴み損ねてた印象で残念でした。


トレンディエンジェルは良い意味で力が抜けていたし、
自分たちのキャラを存分に活かし会場の空気を確実に掴んでいて見事でしたね。
漫才の完成度で言えばこの後出て来る強豪の方に軍配が上がるんでしょうが、
当日客を掴んだものが勝つという本番力を見せつけられました。
今後ますます露出が増えるんじゃないでしょうか。


馬鹿よ貴方は、は独特過ぎる間と佇まいでこの異様さがハマれば良かったんでしょうが、
何となく上滑りしてた感じを受けましたね。
事前にやってた要潤のネタとか略語のネタがかなり面白かっただけに、
本番でのネタの力不足も感じました。
実はツッコミの方がネタを書いてると知って俄然興味が湧いたんですけどね。
(ボケの人はあの風貌なのに台本通り喋ってると思うと逆に面白いですが)
あーお腹減った、という衝撃の脱力台詞から始まる冒頭と言い、
ハマれば相当面白いと思うんですが。
今後どうなるか楽しみなコンビであるなとは思いました。


囲碁将棋はここに来ての下ネタで、
他にもっと勝てるネタあったろうにと思うんですが、
まああえてこれで勝負かけたんでしょうか。
どっちもボケてどっちもツッコみながら議論が飛躍していくという
独自の混合スタイルが途轍もなく面白いんですが、
今回はちょっと消化不良な印象を受けましたね。
また、初めて見る人は混乱するのかもなあと思いました。
(個人的にはこのコンビの新ネタを今後も見続けたいです)


学天即はこれと全く同じネタを先日舞台で見たばかりなんですが、
その時はどうかと思うくらい笑ったんですが、
今回は若干上滑りしてた感じがしましたね。
同じネタなのにその日の空気によってウケ方が違うというのがあるから恐ろしいものです。
漫才の完成度で言えば今回の出場者の中で一番と言っても良いかと思うんですが。
(私の中では磁石と共に優勝候補だったんですが)
オール巨人師匠の一票が救いでしたね。
(ツッコミの人の声や喋り方は巨人師匠そっくりですよね)


和牛は落ち着いた間で出来も良かったし、
漫才の定型挨拶をいじるメタ的なネタも凄く面白かったと思うんですが、
一票も入らなかったのが非常に残念でしたね。
ダイアンみたいにせめてイジられる場面でもあれば良かったんですが。



博多華丸大吉はいつも通りの舞台をやりますといった
これも良い意味での力の抜け方で、
流石の漫才でしたね。
ツカミも抜群でしたし。
華丸が何を言っても面白い状態に持ち込める技量が素晴らしいと思いました。



ダイアンは準新作とか歯が多いとかの独自のボケが後からじわじわ来る感じで面白かったですが、
こういうコンテストでは何となくわかりにくかったんですかね。
爆発的にウケたという感じでもなかったですし。
2人とも赤塚不二夫の漫画に出てきそうな風貌だし、
シュールなギャグ漫画のようで良かったですけどね。


三拍子は勝ち上がって来た勢いもあるし、
ネタ自体も面白く、かなり良かったんですが惜しかったですね。
言葉が飛躍して意外な着地をするネタは好みなので、
今回の三拍子の健闘には拍手を送りたいと思いました。
(特に後半のたたみかけは見事でした)
出来れば彼らに勝ち上がって欲しかったですけどね。


最終3組ですが、アキナは1本目と同じパターンで、
五連休のオチを被せと取るのか使い回しと取るのか、
いずれにせよ違うパターンのネタも見てみたかったですね。
トレンディエンジェルは途中失速しそうになりましたが、
何とか持ちこたえていましたし、
かなり健闘したなあという印象でしたね。
博多華丸大吉はもうここまで来ると安定の出来で。
普段の舞台公演の乗りをそのままテレビの前に持ち込んで
素晴らしい漫才を見せてくれました。
最後の大吉先生の劇場への誘いコメントも痺れましたね。


しかし審査員がしきりに「わかりやすい」とか「ゆっくり」「バラエティ向き」などと
お茶の間目線を意識した発言をしてましたが、
これまでそんな審査基準あったのかしらと疑問を抱きましたけどね。
早くもM-1との差別化を打ち出したんでしょうか。
去年の王者のウーマンのスピード漫才を志村けんが理解出来ない発言したり、
殿もよくわからない的な評価をしていたのに合わせてトレンドが変わりつつあるんでしょうか。
まあネタがわかりやすいに越したことはないですけどね。
殿の何だか的外れなコメント聞く度に年配者に理解出来ない尖った表現してこそなんぼじゃないのとも思ってしまうんですが。
華大の中堅の実力派漫才が優勝というのは妥当過ぎる結果ですが、
名も知らぬ若手が一夜にして革命的に王者になるドラマを期待してしまうこちらとしては
何となく物足りない結果であるし、
これだけ若手がいながら華大に勝てないというのはどういうことなのかと少々もやもやしながら見てしまいました。
また同時に華大曰く漫才は人柄でやるものという、
その人柄を確立した熟練の漫才の強さにも漫才という表現の奥深さを感じ、
若手には出来ない表現もあるのだなあと(矛盾するようですが)感じ入った次第です。
熟練の漫才をも打ち破る若手のお笑い革命を期待しつつ、
劇場で笑いを取っている中堅漫才師にも光が当たると良いなと思った今回の大会でした。


ちなみに大吉先生がラジオで喋ってましたが、
出番前の煽りVTRを見るとみんな家族を背負ってとか苦節何年とか、
背景の物語を強調されるから客が緊張して見てしまい笑えないのではとのことでしたが、
あの異様な空気の堅さの一端にはそれもあるのかもしれないですね。
まあ番組の演出上必要なんでしょうが。
M-1がどのような審査員を用意しどのような趣旨の大会として機能するのか、
今から夏が楽しみです。