アップル大作戦

先日我がアイフォーンを6sという新しいものに機種変し、中身のデータを入れ換えようとiCloudに繋ぎあれやこれや移行し、アイフォーン画面上にもハローなんて表示が出て私もハローなんつって手を振り、さあ新しいアイフォーン生活の始まりだ、ウッキウキだぜいと思った瞬間、突然画面がフリーズし全く動かなくなり。これは何事かと指を何度も画面上にスライドするも動かず、一回電源を落とし再起動したり「動いてくれい」と懇願したり「動けてめえ」と恫喝するなどあれやこれや試すも全く動じないこと山の如しなのであり。あれ、私が買ったのってアイフォーンじゃなくて山だったのかな、五十嵐ミステイクかしらと見やるも手中のこやつは紛うことなくアイフォーンなのであり。
仕方なく一回工事出荷状態に戻すかと再びPCに繋ぎ、復元を試みるも何度もエラーが出てそれもままならず。それからはアイフォーン上に「スライドしてアップデート」という表示が出て動くようになったもののスライドしても一向に画面が開く兆しはなく「すみません…」と再び元の画面に戻るという始末で。そしてまた「スライドしてアップデート」と表示が出てスライドするも「すみません…」と開かずのループで。この不毛なラリーを私は30回はしましたかね。次こそ起動するんじゃないかとの祈りにも似た気持ちで。ギャンブラーが次こそは勝つんじゃないかと不毛な賭けを続ける気持ちが少しわかりましたけどね。結局この賭博負けだなと諦めた私は次の日に早速ソフトバンクに赴き。修理は基本アップルさんなんで、と昨日窓口のお兄さんに言われたばかりなのにノコノコ行ってしまう私も私なんですが、症状を見せると「これはアップルさんに聞かないとわからない案件ですね」と案の定言われ。「ここに電話して下さい」とソフトバンクの人に渡されたメモにはアップルの専門窓口の番号が書いてあり。
家に戻り早速そこに電話すると「スタッフに繋がるまでお待ち下さい。待ち時間は10分ほどです」とアナウンスがあり、電話口からかっこいい音楽が流れて来て。流石アップルさんは白鳥の湖みたいなベタな待ち時間音楽は流さないのだなとファンキーなビートに乗りながら10分ほど待っていると担当のお姉さんに繋がり。かくかくしかじかと説明すると今一度復元を試みましょうと相成り。ホーム画面と電源を長押しするとiTunesマークがアイフォーン上に出て(そんな技があるとは知りませんでした)、そこからあれやこれやして復元作業に入り。「10分くらい待つと思うので一回電話を切りますね。結果をまたお電話下さい」と言われ、いやーやっと起動するのか、ハローなんつって手を振るのか、ウッキウキだぜいと待っていると5分もしないうちにエラーが出てしまい。あれ、また駄目じゃん!と思い再びアップルさんに電話すると「スタッフに繋がるまでお待ち下さい。待ち時間は10分ほどです」とアナウンスがあり。電話口からのかっこいい音楽を聞きながら今度は乗る気力もなく、人が困ってるのにファンキーなビート刻んでんじゃねーよなどと毒づきながら10分ほど待つと今度は違うお兄さんが電話に出て。アップルさんの対応がよく出来てるのは受付け番号を言うとやりとりの履歴が他のスタッフさんでもわかるようになっているのですね。そしてお兄さんとも「これは困りましたね」と話し、ここでも何度となく復元の作業を試すもやはりエラーが出てしまうのであり。お兄さんには「ひょっとしたら交換もあり得るかもしれないのですが、今在庫がどの店にもない状態なんです」と言われ。在庫があれば店頭で交換、なければ郵送で1週間くらいかかるかもしれないとのことで。1週間も携帯がないと仕事も生活もままならないぞと私は戦慄し、とりあえず確かめます!と電話を切り、近くの家電量販店やアップル直営の店に電話し在庫があるか問うもどこもアイフォーン6sは品薄なのであり。
うむこれは参ったと相成り再びアップルさんに電話すると「スタッフに繋がるまでお待ち下さい。待ち時間は10分ほどです」と言われ、かっこいい音楽が流れて来るのであり。ファンキーなビートをバックにこの不毛なラリーを私は永遠にしなければならないのか、こんなことなら機種変などしなければ良かった、いやいっそアイフォーンに出会わなければこんな苦しい想いをせずにすんだのに、もう恋なんて懲り懲りだわ、私は独りで生きて行くわ、と演歌の如き心境になって10分ほど待つとまた違うお兄さんが出て。番号を述べるとこれまでの経緯を見てくれ、「近くの店には在庫がないみたいなんです」と私がその後の状況を述べると「これは困りましたね」と相成り。そこでお兄さんは意を決したのか「五十嵐さん、折角購入していただいたアイフォーンですから最後まで諦めずに解決法を探させて下さい!うちのスペシャリストに引き継ぎますのでこのまま電話を切らずにお待ちいただけますか!?」と言われ。私はス、スペシャリスト?と驚き、天下のアップルさんとこのスペシャリストが降臨しちゃうのか!と緊張しながらまた10分ほど待っていると「もしもし五十嵐さん?」と女性が電話に出て。この方がスペシャリストか!と思っていると「折角楽しみにアイフォーン6sを購入いただいたのに申し訳ございません、最終的には交換という結果かもしれませんが、最後まで諦めずに問題点を解決していきましょう!」と力強く宣言するのであり。人から諦めないでと言われたのは岡村孝子真矢みき以来だなあと思っているとスペシャリストさんは「PCを立ち上げてアップルのリモートサポートのページへ!」と「いざミッション遂行へ!」のテンションで言うのであり。
私は今回初めて知ったのですが、リモートサポートと言って遠隔で私のPC内画面をスペシャリストが見てくれて細かく操作を指導してくれるというサービスがあるらしく。顔の見えない他人が自分のPC画面を遠くから見ていると思うと何だか恥ずかしくなったのですが、ここまで来たら仕方ありません。エロ画像とか妙な書類とか存在しなくて良かったなどと思いつつ電話で「まずはPCの環境を見ましょう」と細かく指導され。スペシャリストのお姉さんは素人の私を手取り足取り導いてくれるのであり。(ここの一文だけ読むとそれこそそっち方面みたいですが)もうスパイ大作戦です。ミッションインポッシブルなのです。まず疑いがあるのはウイルス除けのソフトではないかとのことで調べるもそれはないようで。それからはこの項目をクリック、このページを開いて、などやっているうちにわかったのは私のiTunesが最新ではないという事実で。「原因これかもしれません!」ということになり。まずはiTunesを最新にアップデートし、そこからあれやこれや手順を踏み、改めてアイフォーンを初期状態に戻しましょうと相成り。いざその後作業に入り、PCくんが動き出すのを見ながら私とスペシャリストさんは「お願いだ、エラーよ出ないでくれ!」と決死の思いで祈り。「頑張れ!頑張れ!」というその願いは私とスペシャリストさんだけでなく、地球上の人々の声を巻き込み、耳をつんざくほどの大歓声となって鳴り響き。そこから10分、大歓声はふいにミュートされ、完璧な静寂が舞い降り、ドック、ドックという心臓の鼓動だけが聞こえ。果たして復元は無事出来ているのか?人類の滅亡を賭けた重大ミッションのその結果は?とPC画面を恐る恐る覗くと…。
何と成功で!!!
エラーが出ることなく私のアイフォーンは起動し、24時間振りにその光で私の顔を照らしたのです!もう感動の嵐です!再び巻き起こる地球上の人々の大歓声!私とスペシャリストさんは「やったあ〜!!」と喜び抱き合い、ハイタッチし(心の中で)、花火は上がり、神輿は担がれ、パレードは続き、世界中が大騒ぎで。
起動に成功した後は元のアイフォーンのデータを戻す作業もエラーなく進み、諸々設定などし、アップルのスタッフ3人、スペシャリスト1人の手を借り3時間ほどかけてようやく私の日常が手元に戻ったのでした。実に長く過酷な戦いでした。この戦いに私はついに勝利を収めたのです。
今回の教訓としてはアプリなどは常に最新にしておけということでしょうか。しかしiOS9は最新のiTunesにしか対応しないなんて話はスペシャリストの人から聞いて初めて知った情報ですし(対応しない割に一回操作は完了したのが不思議なところ)、何となく使ってるだけでは使いこなせてることにならないのだなーとしみじみ思った次第です。これから機種変しようと思ってる方はぜひお気をつけ下さい。林檎の国のルールは時に複雑なのです。